「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」の問題点
今年の6月16日未明の参議院本会議で強行採決・可決成立、6月23日に公布された「土地規制法(重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律)の問題点をまとめてみました。
基本的人権擁護の立場から、「発動させないことが大事」などの指摘もされています。参議院内閣委員会の参考人質疑など、下部に参考リンクを貼りましたのでご参考にしてください。
条文の問題点
〇「目的」について
「重要施設(防衛関係施設等)及び国境離島等の機能を阻害する土地等の利用を防止」
・「重要施設」とは何か?「国境離島等の機能を阻害する土地」とはどういう土地か?
→政令で指定する。告示で個別指定する。(あいまいでどうとも設定できる)
〇「調査」について
対象…土地及び建物の所有者賃借人等←「等」という言葉で拡大可能
事項…所有者等の氏名・住所・国籍等
利用状況
手法…現地・現況調査←どのような調査が行われるかの限定がない。
不動産登記簿・住民基本台帳等の公募収集
所有者等からの報告徴収(刑事罰あり)
〇「利用規定」について
他法令に基づく措置
機能を阻害する利用の中止の勧告→命令(刑事罰あり)
○設定・設定解除に国会が関与していない。(恣意的運用の恐れ)
★「重要施設」とは①自衛隊・米軍関連②海上保安庁③生活関連施設(官報で公示)
★どの行為が機能を阻害する行為なのか明確でない(第3者機関による検証もない)
←勧告を受けるまでわからない(対象者が知らないところで網がかけられる)
★「内閣総理大臣」が28か所も出てくる
「内閣総理大臣が…する」という総理の権利を繰り返す内容←独裁的志向
★地方自治体・地方公共団体を支配下に置き、情報提供を求める。あるいは情報を提供する。(7条・21条・22条)
関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関は求めがあった時は情報を提供する。上記に対し、資料の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができる。
★違反行為をしたものは処罰される・・・2年以下の懲役、200万円以下の罰金等
★「密告」を奨励するような条文・・・報告や資料の提供をしなかったものは処罰(25・26・27・28条)。プライバシー、思想信条に立ち入る調査がされ、その情報が行政機関をまたいで共有される恐れがある。←市民社会の分断・破壊
法律成立の問題点
★重要な法案なのに審議時間がわずか
委員会質疑が12時間ほど
★立法事実がない
苫小牧・・・IR法関連の企業が取得を検討(国のIR関連事業推進と背反)
対馬 ・・・観光目的(インバウンド奨励と背反)
立法事実を探すための法律
★背後の圧力・・・例・ランド研究所の報告…日本国土ならびに自衛隊をどう効率よく使うか、どう戦闘配置するか、欠点は何か、今後の課題、など詳細に報告。
(作成:長友くに)